皆さんは今、プロシーンで最も旬なMid Lanerをご存知ですか?
CorkiやViktorといったチャンピオンが該当します。BANされているチャンピオンを考慮すれば、
このあたりがポピュラーなMid Lanerと言えるでしょう。
しかし、SoloQの統計をどのように分析しても、このようなチャンピオンたちが旬だという結果は出ません。
Pick率ではLux, Ahri, Zed, LeBlanc, Talonといったアサシンであったり、ワンコンボを重視したチャンピオン達が人気で、
勝率ではLux, Malzahar, Ahri, Vel'Koz, Annieといったチャンピオンが並びます。
このように、プロシーンやSoloQでOPなチャンピオンには、よく大きなギャップが生じます。
現在勝率が極めて高いUdyrも、プロシーンでPickされれば途端にどよめきが上がりました。
プロの間でよく使われるチャンピオンと、SoloQで勝率の高いチャンピオンというのは、何が違うのか?
今回はそこに目をやってみましょう。
League of Legendsは戦略ゲーム
まずは当然の事から入っていきますが、LOLは戦略が非常に重要です。
対面チャンピオンの相性ももちろん考慮しますが、それ以上に、構成という点が重視されるのがプロシーンです。
その点でSoloQでは、良くも悪くもそれぞれ自信のあるチャンピオンや対面との相性という点が重視されます。
重視している点が違うため、それぞれに適したBan / Pick戦略というものがあります。
今回はMid Lanerの流行を紹介したので、Mid Corkiで例を考えていきます。
CorkiはSeason 6で頻繁にPickされるようになったMid Lanerです。
SoloQにおいて4%もプレーされないMid Corkiですが、
先週のプロシーンメタでは30戦中14戦MidでPickされ、そのPick率は45%以上になっています。
一般的にMid Laneはタワーの重要性からレーンの勝利が非常に大切で、相手より先にPickするとカウンターを当てられて敗北する可能性があり、あまり先出しが好まれないレーンです。
その点で言えば、Corkiは1st Pick, 遅くても確実に2ndでPickされる、非常に先出しが多いチャンピオンです。
なぜCorkiは先出しされるのか? その要因としては、
- Flex Pickであること
- 比較的安全なプレーが可能であること
- 戦術的に優れていること
- 時代がそうさせる
などが挙げられます。
Flex Pickであること
Flex Pickとは
一つのチャンピオンが、2つ以上のレーンで使用される可能性があることを意味しています。
(関連記事 :
Flex Pickを活用しよう)
昨年非常に流行した
Luluは、
Flex Pickの代表格です(現在もまだ続いていますが)。
LuluがよくPickされるのは、Disengageが非常に得意でProtect ADCの中心だからという事ももちろんですが、
Flex Pickであり、Topで使用されるのか、Midで使用されるのか、はたまたSupportなのかが、Pickが出揃うまで把握できないことも強力な要因です。
Corkiも同じように、よくMidとしてPickされていますが、ADCとしてのPickも同数程度に存在します。
しかし、この
Flex Pickは、
SoloQにおいてはまず活用されません。
会って1分にも満たないADCプレイヤーに、「
君、Corki使えるかい?」と聞く人間はあまりいないでしょう。
もし相手にZedが来ようがなんだろうが、おそらくMidの自身がCorkiをPickすればMidに行くことになります。
比較的安全なプレーが可能であること
安全なプレーが可能であることは、先出しのMid Lanerにとって非常に重要です。
それに必要な要素は3つあり、
- 逃走スキルをレーン上で温存できる
- Wave Clearが早く、遠距離から処理できる
- Rangedである
などがその要素に当たります。
今度の比較対象としては、
LeBlancを挙げておきましょう。
LeBlancはプロシーンでもまだ好まれているChampionで、今シーズンではCLGのHuhiが頻繁にPickします。
しかし、LeBlancのPick率が伸び悩んでいるのは、
安全なプレーが難しいことが理由の一つです。
LeBlancは唯一のPush性能であるW -
Distortionが逃走スキルであり、そしてダメージ源でもあります。
それに対して
Corkiは、QとRという低CD・かつ遠距離
AoEのWave Clear性能があり、逃走スキルであるWをWave Clearで使用する事がありません。この点は
Luluにも共通していることで、Qで遠距離からWave Clearが可能、かつ
レーニングで使用する事の無いWとRがLuluの安定したプレーを支えています。
先出しされるMid Lanerの多くは、安全なプレーが可能でファームできない状況に陥らないことが条件にあります。そのためLeBlancのほとんどが、確実に対面が把握できたLast Pickでピックされます。
プロシーンではレーンの勝ちではなく、"
安定"を最優先事項に配置しています。
…対して、SoloQにおいて最初からそれほどの
敗北予想を立てていくプレイヤーはいませんよね。
多くのプレイヤーは
自信のあるチャンピオン、レーニングで勝てるチャンピオンをPickするでしょう。
SoloQでは一つのレーンの勝ちが、どれほどチームへの影響になるかをよく理解しているため、レーンでは"
勝ち"を最優先事項に配置します。
戦術的に優れていること
現在のメタはEarly - Mid Gameメタであり、その時間帯に強力なチャンピオンであるCorkiはよくPickされます。
APダメージでかつ、Trinityによりタワーやオブジェクトの獲得も早いCorkiは、物理と魔法のダメージ比率を崩さない中で最もEarly - Mid Gameメタに適したチャンピオンです。
ただそれは一要素であり、実際のMid Laneメタをそれだけで説明するのは難しい事は、最初に述べたプロシーンの流行からも理解できるでしょう。
これを説明するには、ゲームのどの段階で試合を決定付けるかが重要になってきます。
Late Gameのダメージスケールに優れたViktor, Gangplank, Ryzeなどのチャンピオン、Mid - Late Gameで非常に優秀なProtect Carry性能を持つLuluなど、これらのチャンピオンをMidでPickするなら後半まで安定したゲームを進め、終盤に試合を決めたいチーム構成になります。
では、この条件を達成するために重要なのは?というと、Mid Laneからはみ出して、Supportが重要になってきます。
Late Game寄りのチーム構成を組む場合、SupportはDisengageに優れたTank Supportを配置することが多いです。
例えばBraumであったり、Alistarであったりが該当します。苦しい時間帯をSupportでしのぎ、また
自身もFocusされて死なないことが必要です。現在のJungleメタはPick Upが優秀なNidalee, Eliseが流行していることもあり、Disengageで自身が倒されてしまえば意味がありません。
相手が極端に前半強かったり、後半強かったりすれば、
敵が弱い時間帯に試合を決めてしまえばいいのです。そのため、プロシーンのチーム構成というのは、チームが弱い時間帯を凌いだり、補い合うチームコンプがしばしば組まれます。
これがSoloQになるとどうなるかと言うと、途端に
自己解決が必要になります。
自分がViktorやGangplankをPickしたからと言っても、
味方のSupportはBlitzcrankをPickするでしょう。
ならば初めから
チームに影響されにくい、ワンコンボで敵を落としきれる
キャリータイプのチャンピオンをPickした方がいいですよね。
それがSoloQでLuxやAhri, Zedといったチャンピオンが好まれ、かつOPである理由です。
時代がそうさせる
「
おっ、この記事のオチが来たか?」と思った人達には大変謝りたいのですが、そうではありません。
とても細かいお話になるのですが、今のプロシーンは
Glyph(通称
青ルーン)の
MR優先度が非常に低いのです。
Mid Mageは多くの場合GlyphにCDR Scaleを入れており、ADCもGlyphにASが流行しています。
多くの魔法ダメージは確定性の低いもので、多くのMageはス
キルショットで魔法ダメージを与えます。
そのため
スキルを回避すればいいと考えるプレイヤー、例えば
SKTのFakerや
H2KのForg1venなどは元々Glyph MRを否定していました。
それが現在の流行を生んだんですね。
そこで
Corkiです。彼は通常攻撃を魔法ダメージに変換するという特性上、
確定性の高い魔法ダメージを発揮することができます。
今のNO MR時代にGlyph MRの必要性を確定させることで、間接的にルーンでCDRを獲得して
RoAを優先する多くのMid Mageを威圧し、Pickを戸惑わせることが…まあ、そこまでプロシーンで考えられているのかどうかは私にはわかりかねますが、Mid Corkiが人気かつプロシーンで強力だという要因の一つにはなるでしょう。
参考 :
Games of Legends,
Champion.gg
あとがき
たまに
Top LucianなんかがPickされて「
ヘアッ!?」と変な声が出たりしますが、
チームの狙いを把握していくのは非常に面白いです。
SoloQではあまり役に立たないかもしれませんが、チームでプレーする時に色々なことを事前に考えたり、
LJLなどの大会を、SoloQの視点だけでなく、深い視点から見てみるとまた違った楽しみが見つかるかもしれませんね!